大日本住友製薬が「アルマール」の名称変更を発表
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[ 2012/01/25 ]
専門医局にて連載されている各分野で活躍する医師を訪ねるスペシャルインタビュー。医療法人鉄蕉会脳神亀田メディカルセンター脳神経外科部長の田中美千裕先生に話を伺った。恩師となる脳神経外科医の教授や留学先での貴重な出会い、亀田総合病院の脳血管内治療の立ち上げなど、「温故知新」と研鑽の日々を語ってもらった。
大学卒業後に初期研修先として選んだ横浜市立大学は、当時、スーパーローテートを行っている数少ない病院でした。将来の専攻を、解剖学や頭頚部の外科などで迷っていた私は、たまたま脳神経外科も回ることになり、それが、当時の脳神経外科学教授・山本勇夫先生との出会いになりました。
私は小さな頃から古生物が好きで、恐竜の骨や化石に人一倍興味がありました。その延長線上として、脊椎動物である人間の脳や血管について学べる解剖学を志したのですが、山本先生はフロリダ大学で解剖学も学ばれていた方で、先生の「脳神経外科医は、毎日が解剖だよ」という言葉が、 入局の決め手となったのです。
山本先生には、その2年後、国立循環器病センター(現・国立循環器病研究センター)での研修にも、快く送り出していただきました。同期の入局者が私一人しかいなかった状況で、教室としては難しい決断だっただろうと思いますが、先生は他流試合で知識と腕を磨くことが必要だと言ってくださったのです。その後スイス行きを決めたときにも先生の姿勢は変わらず、先生への共感の気持ちから、私は現在も横浜市立大学の医局に属し、非常勤講師も務めています。
1995 年の秋、京都で開催されたWFITN(World Federation of Interventional and Therapeutic Neuroradiology)で、私は内頸動脈血流遮断試験(balloon occlusion test)に関する演題を発表しました。このときに、balloonの位置が違っていることを指摘してくださったのが、新たな師匠となるチューリッヒ大学・神経放射線科教授のValavanis 先生でした。留学先として他にも候補がありましたが、チューリッヒ大学では脳血管内治療でもっとも難しいといわれる脳動静脈奇形を一番数多く手がけていたうえ、元国立循環器病センター部長の米川泰弘先生が脳神経外科の主任教授を務めていらっしゃったのです。
また、渡航後に知ったことですが、1977年世界初の心臓カテーテル治療が行われたのが、チューリッヒ大学でした。知れば知るほど、ヨーロッパと日本では血管内治療に雲泥の差があることを思い知らされ、先達から多くのものを学んでいく、まさに「温故知新」の日々でした。
脳神経外科の世界では神様のような存在であるYasargil先生は、米川先生の前の代に長く教授だった方です。解剖に造詣が深く、血管内治療を極めるには、解剖への深い理解や洞察が必要だと教わりました。このYasargil先生が、先のValavanis 先生の師匠にあたる方で、それだけで本が一冊書けるほど、逸話の多い方です。
Valavanis 先生のご指導のもと、渡航後初めての治療を任せていただいてからは、多くの機会を与えられ、チューリッヒ大学の哲学のようなものも、少しずつ理解できるようになっていきました。
2003 年にはチューリッヒ大学講師のポストをいただき、スイスでの永住を考え始めた頃、亀田総合病院心臓血管外科の外山雅章先生と現理事長の亀田隆明先生から、声をかけていただきました。脳のカテーテル治療の立ち上げからかかわることができ、手術室の設計にも携わらせていただけたのは、外科医にとって滅多に経験することのできない幸運だと感謝しています。放射線技師や手術室ナース、病棟ナース、外来でマネジメントしてくれるスタッフまで、すべてのスタッフが、血管内治療がどういうものか理解したうえで協力し合うことができているのです。麻酔科の先生の協力もあり、患者さんに負担がかからないよう、血管内治療は全例を全身麻酔で行っています。現在まで、事故や大きな合併症がゼロで済んでいるのは、こうしたスタッフたちのおかげだと思っています。
若手の教育については、開頭手術・血管内手術の両方を均等に研修でき、将来どちらのエキスパートにもなれるような教育システムをつくっています。私としては、将来脳血管内手術のエキスパートを目指すなら、若いときにはむしろ開頭手術を、開頭手術のエキスパートを目指すならむしろ脳血管内手術を、それぞれ学んで、バランスのよい脳神経外科医を育てたいと考えています。
慣れ親しんだ日本を離れ、海外で働くことには当然、言葉や文化なども含めて多くの困難があります。それでも、すべては「日本から飛び出してみよう」という、小さな勇気が持てたことで、素晴らしい経験ができたと思っています。1990年代、まだ誰も脳血管のカテーテル治療がこれほど普及すると予想しなかった時代に、カテーテル治療の未来と可能性を信じて開発し、チャレンジしてきた偉大な先人たちに指導していただいたことを感謝しています。
私の尊敬する、『解体新書』訳業の中心だった前野良沢は、人が目を向けないものや、取り残されたものに目を向けることにこそ価値があり、それが自分の存在価値にもつながると書いています。この考え方は、専門分化した時代にも通じるといえます。
年齢を重ね、先端医療だけでなく解剖学、古生物学など古いものへの興味も深まるばかりです。
プロフィール
※記事提供元:専門医局
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